TOKYO美術館あそび

東京・神奈川の気になる美術館・博物館、展覧会めぐり

27年前の約束を果たしに。ニューヨーク・MOMA

「TOKYO」と謳っておきながら、さっそくニューヨークへGO!

Pink Panther」(1988) Jeff Koons

 

【2023年4月26日来訪】

 

「東京・神奈川の美術館をめぐりま~す」なんて言っておきながら、

いきなりニューヨークで、すみません。

2023年に訪れた美術館の振り返りをしていまして、時系列で並べるとどうしてもMOMAになってしまいます。でも、せっかくなので、

これからの3投稿ほど、ニューヨークの美術館を一緒にめぐりましょう!

 

今回でMOMAは2回目の来訪となります。1回目は、20歳のときでした。

それは私にとって初めての海外旅行でもありました。

そのときに、ある人と交わした約束を果たしに、27年ぶりにやってきたのでありました。

 

ダリにブッ飛ぶのは、もうお約束

「回顧的女性胸像 Retrospective Bust of a Woman」(1933) サルバドール・ダリ

ダリの作品って、アートに詳しくなくても、見れば「あ、ダリだ。」とすぐにわかります。どれもこれも不可解なんですが、なにかひきつける魅力があります。

シュルレアリスムの代表格。現実と夢の狭間で、自分の意識ではコントロールができない世界を表現しているため、どうしてもわかりにくい分野です。

でも、筆者自身も「グニャグニャしてる高いビルの中を歩いている」「大海原にポツンと浮かんでいる家の中にいて、窓から海をみる」とか、ときどき不思議な夢をみることがあります。

 

シュルレアリスムの作品をみると、その感覚に似ているなと思います。

現実ではありえない。けれども、夢の中で、もしかしたら見たことがあるような風景。

意識では理解できなくても、自分の深いところにある無意識が反応するようで、自然と目がいくのです。

 

改めて、「回顧的女性胸像」をしみじみ鑑賞すると、やはり個性的なビジュアル。

頭にパンが乗っかっているし・・・、その上にもさらに銅像が積まれて・・・、

顔には蟻がたくさん這いまわり、首からとうもろこしがぶらさがる。

ああ、「謎」だらけです。

 

「回顧的女性胸像」裏側

今回初めて、裏側までのぞいてみたら、

 

「うわっ、ハゲてるっっ!!!」

 

と、表側を上回るディープインパクト

 

美術館へ足を運ぶ醍醐味って、気になるところをとことんクローズアップして、隅々まで鑑賞できること。本やオンラインでは得られない、「私だけの発見」ができるのが楽しいんですよね。

 

有名な絵をストレスフリーで鑑賞できる幸せ

アヴィニョンの娘たち」(1907) パブロ・ピカソ

「私と村 I and the Village」(1911) マルク・シャガール

「記憶の固執 The Persistence of Memory」(1931) サルバドール・ダリ

「鏡の前の少女 」(1932) パブロ・ピカソ

誰もが教科書やTVで見たことがある絵、題名は知らずとも「あ、これ知ってる」となる絵ではないでしょうか。


MOMAには、「えっ、あれも?これもっ?!」と、名だたる巨匠たちの名作が驚くほどに沢山所蔵されています。
そのせいか、有名な絵であっても人だかりはそれほどなく、ゆったりと何十分でも観たいだけ心おきなく鑑賞ができるのです。

 

もしこれらの絵が、上野の美術館の企画展で展示されようものなら、絵の前には大勢の観客が押し寄せ、「押すな押すな」の大盛況のなか、人の波に流されるように「パパッ」と観ることしかかなわないでしょう。

 

また、海外の美術館に来ると感じるのは「鑑賞マナーの良さ」。

例えば、私が先にその絵を観ていたとして、後から来た人は、絵を観ている私の視界を妨げないよう、その後ろや横でそっと鑑賞し配慮してくれるのです。

なので、私も先に観ている人がいたら同じように行動します。

 

いろいろな国からやって来た、言語も違う者同士が、お互いに好きなアートを楽しめるようスマートに譲り合って鑑賞する光景は、思いやりが伝わってあたたかい気持ちになります。

 

アートはみんな平等

「偽りの鏡」(1929) ルネ・マグリット

「Colorhythm,1」(1955) アレハンドロ・オテロ

「Untitled」(1999) Maria Magdalena Campos-Pons

「Young Girl from Ayacucho」(1937) Jose Sabogai

巨匠たちの名作揃いのラインナップに圧倒されながらも、MOMAは19世紀後半から現代までの様々なジャンルの作品を幅広く所蔵しているので、刺激的な未知のアーティストやアートと出会えるのがとても面白いところです。

 

モダンアートの最先端を行くMOMAでは、有名だろうが無名だろうが、どの作品も分け隔てなく同じスタンスで展示しているのがとても印象的です。

 

絵画・造形、映像作品、写真、家具、ポスター、プロダクトデザイン、

ジャンル、表現方法は違えども、アートはみんな平等に素晴らしい!

 

そんなメッセージが聞こえてくるようです。

 

原田マハ ファンは、絶対にMOMAへ行くべし!!

「夢 」(1910) アンリ・ルソー

「星月夜」(1889) ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ

「楽園のカンヴァス」「たゆたえども沈まず」原田マハ

今回一番楽しみにしていたのは、アンリ・ルソーの「夢」と、ゴッホの「星月夜」。

筆者は原田マハさんの大ファンで、この作品が題材となっている小説、

楽園のカンヴァス」と「たゆたえども沈まず」の愛読者です。

 

「楽園のカンヴァス」は、ルソーが描いた「夢」をめぐるアート・ミステリー小説。

MOMAの若きキュレーター・ティム・ブラウンと、ルソーの日本人研究者・早川織絵が名コレクターの大豪邸に呼ばれて、7日間の間に「夢」に酷似した絵の真贋判定対決をするストーリーです。

 

「たゆたえども沈まず」は、孤高の画家・ゴッホとその兄を支え続けた弟・テオ、パリで世界に挑んだ日本人画商・林忠正と助手・重吉の出会いから、この大傑作「星月夜」が生まれたというストーリーのアート小説です。ゴッホとテオが抱える苦悩は切なく悲しいのですが、登場人物すべてが愛おしくなるアート小説です。

 

どちらも実在の人物が登場しますが、架空の人物もいますし、想像上のお話です。

でも、原田マハさんは美術館勤務、フリーのキュレーターの経歴があり、アートについても深い知識を持っています。フィクションでありながらも史実に基づいているため、「真実は、本当にそうだったんじゃないか」と思わせる説得力があるのです。

 

2冊の小説を読むと、誰もが「夢」と「星月夜」に強い思い入れを感じるはずです。

なので、原田マハ ファンならば、きっと一度は訪れたい場所がMOMAなのです。

 

特筆すべきことは、この2作品、実は同じ部屋に展示されています。

しかも、対局の壁に、お互いが向い合せになる形に鎮座されています。(2023年4月現在)

 

「えっ、もしかして、MOMAのキュレーターも原田マハのファンなの?!」

 

と、ついつい思わせる(思いたい)、嬉しすぎるサプライズに大興奮でした!

 

マティスの前で、27年前の約束を

「Dance(Ⅰ)」(1909) ヘンリ・マティス

筆者は、27年前にもMOMAを訪れています。

そのとき20歳。美術館が好きだったので、「初めての海外旅行は、美術館が沢山あるニューヨークに絶対行く!」と決めていました。

 

前回も1人でMOMAに来ていて、40代くらいの眼鏡をかけた真面目そうな男性のガイドさんに声をかけれられ、一緒に美術館を回りました。

ガイドさんは詳しく絵の説明をしてくれましたが、筆者に英語力が無いことをすぐに察し、中学生英語のようなわかりやすい英語でゆっくりと話してくれました。

 

私は「Clear!」「Dark!」と形容詞だけで、絵の感想を言いたい放題述べていましたが、彼は私の素直な反応に大喜びしてくれて、その表情から言葉を超えた共鳴感を感じました。ニューヨークでの一番楽しい思い出です。

 

最後に、このマティスの「Dance(Ⅰ)」の前でガイドさんと別れたのですが、

そのとき、「あなたは英語のクラスに入って、また絶対にMOMAへ来なさい。」と、

言われたことは今でもずっと心に残っています。

 

英語のクラスには入りませんでしたが、約束通りまたMOMAへ来ることができました。

ガイドさんのおかげでますますアートが好きになり、27年たった今でも美術館めぐりをこよなく愛しています。

 

27年ぶりにみたマティスは、あのときとまったく同じ「Clear!」で、

「おかえりなさい!」と、みんなで楽しいダンスを踊っているように見えました。

 

海外での美術鑑賞に最適なアプリ

外国へ行ったら、「Google翻訳」アプリをぜひダウンロードしてください。
「現地の言語 ⇄ 日本語」に設定して、「カメラ入力」を押すと、

Googleレンズ」に切り替わります。

 

カメラモードになるので、例えば、美術館であれば、

英語で書かれている解説文に携帯をかざすと、瞬時に読み取って、日本語に翻訳されるのでとっても便利です。

 

チケットは、オンライン事前予約がおすすめです

 

日本ではコロナ過から、チケットをオンラインで事前予約することはスタンダードになってきました。

 

MOMAでも、同じようにオンラインで事前予約ができ、登録したメールアドレスにチケットが配信され、スムーズに入場ができます。またオンラインで購入すると2$割引されるのでおすすめです。

 

現地で、携帯からMOMAのWebサイトへアクセスして、「Book tichkets」の「I am not a member」から入ってご購入ください。「Google翻訳」アプリを入れておけば、チケット購入時の説明も日本語訳に変更ができ、簡単に手続きができます。

 

最新の開館時間や休館日などは、MOMAのWebサイトにてご確認ください。

 

チケット料金 Buy(通常) Online(オンライン)
Adult(一般) $30 $28
Senior(シニア)※1 $22 $20
Visitor with disability(障害をお持ちの方)※2 $22 $20
Student(学生)※3 $17 $15
Child(小人)※4 $0 $0

※1 65歳以上で身分証明書をお持ちの方

※2 障害のある方の付添者は無料

※3 留学生を含む身分証明書を持った全日制の学生

※4 16歳以下

(2023年12月現在)

 

MoMA (ニューヨーク近代美術館

MOMA

27年前と違うことは、携帯アプリの劇的な進化です。

「マップ」を開けば、外国にいても地図表示の言語は自動的に日本語に切り替わり、日本と同じ感覚で、現在地や目的地までの行き方が簡単に確認できます。

Google翻訳」を開けば、会話でも文章でもタイムリーに翻訳可能です。

携帯さえあれば、もう言語の壁は無くなり、昔よりもずっと気軽に海外を楽しめることにみなさんも驚くことでしょう。

あなたもぜひ、久しぶりの海外、ニューヨークで美術館あそびをしてみませんか?

 

 

MoMA (ニューヨーク近代美術館
The Museum of Modern Art
11 West 53 Street,New York,NY 10019